【司法書士が解説】遺言執行者の権限とは
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う権限および義務を持つ者です。
遺言者が遺言書の中で指定するケースが多く、相続人や司法書士などの専門家が選任されることもあります。
本記事では、遺言執行者の権限について解説します。
遺言執行者の権限
民法第1012条では、遺言執行者は遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権利と義務を有すると定められています。
遺言執行者の権限を確認していきましょう。
相続財産の調査と管理
遺言執行者は、まず相続財産の調査を行い、財産目録を作成する義務があります。
財産目録は相続人全員に交付する必要があり、預貯金や不動産などのプラスの財産、借金などのマイナスの財産もすべて把握したうえで作成します。
また、遺言の内容が実現されるまでの間、相続財産を適切に管理することも重要な権限の1つです。
預貯金や有価証券などの各種手続き
遺言執行者は、金融機関や証券会社に対して払戻しや解約、名義変更などの手続きを単独で行う権限を持ちます。
ただし、手続きの際には遺言書の原本や遺言執行者であることを証明する書類の提出を求められることが一般的です。
不動産の名義変更
遺言書に不動産を特定の相続人または受遺者に引き渡す旨が記載されている場合、遺言執行者は不動産の名義変更を単独で行う権限を持ちます。
2024年4月から相続登記が義務化されたため、相続発生後は速やかに手続きを進める必要があります。
不動産の名義変更には、被相続人の戸籍謄本や遺言書などの複数の書類が必要となるため、漏れなく準備を進めることが大切です。
相続人の廃除や取り消し
遺言書に相続人の廃除または取り消しが記載されていた場合、遺言執行者は家庭裁判所に申し立てを行う権限を持ちます。
相続人の廃除とは、遺留分を持つ相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱を与えた場合に、被相続人の意思に基づいて相続人の相続権を剥奪する制度です。
子どもの認知
遺言書に婚姻関係のない相手との間に生まれた子どもを認知する旨が記載されていた場合、遺言執行者は父親に代わって認知届を提出する権限と義務を持っています。
被相続人が死亡した日から1年以内に認知届を市区町村役場に提出しますが、このとき他の相続人の同意は必要ありません。
認知をする子どもが成年であるときは、その子どもの承諾が必要です。
まとめ
本記事では、遺言執行者の権限について解説しました。
遺言執行者に任命され、手続きなどに不安がある場合は、司法書士に相談することをおすすめします。